シャー・アズナブル語録


ガンダムV
めぐりあい宇宙


Prologue


     地球の周りには、数百基の巨大なスペースコロニーが浮かび、人々がその内壁を第2の故郷として半世紀、人類の半数が宇宙生活者となった宇宙世紀0079。
     サイド3はジオン公国を名乗り、地球連邦政府に独立戦争を挑んできた。開戦当初に総人口の半数が死に、人々は自らの行為に恐怖した。
     連邦軍の新鋭戦艦ホワイトベースの少年パイロット、アムロ・レイは、いくつかの戦いを経ていつしか一人前の戦士に育っていった。そして、ホワイトベースは新たな戦局の進展に伴って宇宙へ発進していった。それを彼らの仇敵、シャー・アズナブルが追う。




Cast

シャー・アズナブル大佐



宇宙へ

「どうか。」
「まさかな。引っかかったんだよ。木馬はおとりだ。今頃はジャブローからは主力の艦隊が発進している頃だろー。」
「本気か。我々が背中を向ければ、木馬が攻撃してくる。この近くにいる艦隊は。」
「交信できるか。呼出せ。」
「元気そうだな、ドレン。また、貴様の手を借りたいのだ。」
「木馬を追っている。ちょうど貴様の艦隊の位置なら、木馬の頭を押さえられる。」
「私を誰だと思っているんだ、ドレン。」
「お世辞か。」



「よーし、我々もこのまま接近して、キャメル隊を支援する。」
(アルテーシア。あのアルテーシアはあのとき地球連邦郡の制服を着ていた。争い事を人一倍嫌っていたアルテーシアが再び宇宙艦隊に乗込むなど、ありえんな。)
「よーし、第1戦闘配置、急げ。」



サイド6

「すまんな、君。なにぶんにも運転手が未熟なものでね。泥はかからなかったかね。車で引かないと無理だな。ララー、トランクを開けてくれ。君も手を、・・・。うーん、アムロ・レイ、アムロ、不思議と知っているような名前だな。構わんよ。済んだ。」
「シャー・アズナブル、ご覧の通り軍人だ。」
「ララー、車はゆっくり発進させるんだ。どうした、下がれ、アムロ君。」
「君は年はいくつだ。そうか。若いな。敵の指揮官を見て硬くなるのはわかるが、せめて礼の一つも言ってほしいな。」
「汚れるのは私一人でよかったのにな。」
「どうしたんだ、あの少年。ふん。」


「フラナガン機関の人間はやさしくしてくれたか。」
「そうだな。よく見ておくのだな。実戦というのはドラマのように格好のよいものではない。戦場にいてもこんなものだ。」


「うーん、ガンダムは映っていないはずだが。」
「ララーはかしこいな。」
「そうだな、気をつけよう。」


「だから言ったろ。ララーはかしこいって。」
「ガンダムのパイロットはニュータイプとしての覚醒をはじめている。ララーと同じか、それ以上のな。」



テキサス・コロニー

「ザンジバルに戻る。私のゲルググの調整もしなければならん。キシリア閣下からは督促されてはいるが、エルメスの整備が間に合わないでは話しにならんぞ。」
「どうした。そういう冗談はやめにしてくれないか。


「間違いないのだな。ララー。」
「ララーがさっき感じたのは、敵が近づいていたからだな。」
「ということは、もしララーが敵と意思が通じ合える可能性が出たとき、戦闘力は維持するものなのかな。」
「しかし、私は、お前の才能を愛しているだけだ。」
「強いな、ララーは。そういうララーは好きだ。」

「どうだ、マリガン。私のゲルググは出動できるのか。」
「テストを兼ねて偵察してくる。脱出の用意をしておけ。」


「わかっている。ゲルググのデータは頭に入れてある。」
「私はモビルスーツに乗っても、必ず帰ってくる主義でな。」



「モビルスーツとの接触があるかもしれん。その時は、安全なところからよーく見ておけ。


「地雷原に引っかかった。」


「ガンダムとはな。」
「ふっ。」
「地雷原に追いこめば、ガンダムといえども、うわっ」
「地雷原に飛び込んだか。ララー、伏せろ。」



「急いでザンジバルへ戻れ。空気の流れは止まりつつあるが。すぐに私も行く。」


「ダミーの爆発で、あのパイロットをごまかせるとは思えんがな。」


「アルテーシア。」
「軍を抜けろといったはずだ。それが士官とはな。」
「私たちを育ててくれたジンバ・ラルは、デギン・ザビ公王が父を暗殺したと言いつづけていた。」
「父の死因となった心臓発作は、デギンが仕掛けたのは事実らしい。それを悟られぬために、デギンは公国制をしいたとき、父の名前のジオンを国の名に使ったわけだ。宇宙移民者の独立主権を唱えた父は、宇宙の民をニュータイプのエリートだとしたところに、デギンのつけこむ隙があった。宇宙移民者はエリートであるから、地球に従う必要がないという論法にすり返られた。」
「それがわかる人とわからぬ人がいるのだよ。だから、オールドタイプはせん滅するのだ。」
「それはわかっている。しかしな、アルテーシア。体制に取込まれたニュータイプが、私の敵となっているのはおもしろくない。それは、私のザビ家打倒を阻むものとなる。」
「アムロ。ガンダムのパイロットか。パイロットでは体制は崩せんよ。ニュータイプ能力を戦争の道具に使われるだけだ。」
「父の敵を討つ。」
「私はそんなにうぬぼれていない。ニュータイプがニュータイプとして生まれ出る道をつくりたいだけだ。」

「アルテーシア、すぐに木馬を降りろ。地球に下りれるだけの金塊は残していく。私がマスクをしているわけがわかるか。わたしはお前の知っているキャスバルではない。シャー・アズナブルだ。過去を捨てた男だ。」


「敵艦は木馬だ。ララーが。むこうもガンダムを回収するまでは
、仕掛けては来ないだろ。」



(先の約束を果たされんことをせつに願う。あのやさしきアルテーシア・ダイクンへ、キャスバル・レム・ダイクンより、愛を込めて。)



ソロモン


「なに、ソロモンが救援を欲しがっている。」
「間に合うとは思えんが。最大千速、目標ソロモンだ。」



ララー

「あの輝きが、ララーの仕掛けたものか。すごいものだな。」
「どうした。レベル9.4か、ひどいものだな。引揚げる。」


「シャー・アズナブル大佐。ララー・スム少尉、入ります。はっ」
「はっ」


「はい。」
「はい。はっ、はい。」
「はい。」
「ドズル閣下から左遷されて、キシリア様から呼ばれたとき、いつかこのようなときが来るとは思っていました。いざというと怖いものです。手の震えが止まりません。」
「お笑いになった。」
「ありがとうございます。キシリア様。」
「ガルマ様のとき、空しくなりました。キシリア様流に言えば、復讐の後に、何の高揚感もなくただ空しい自分を見つけたとき、おかしくなったのです。自分に笑ったのです。」
「で、父の言うようなニュータイプの時代の変革があるのなら、見てみたい。それが自分の野心です。」

「新しき時代のために。」
「はっ。」


「まず、艦隊特攻をかける。半分は沈めるつもりだ。その上で、ララーが中心に、モビルスーツ隊をたたく。今日から私は、ララーの命令で動く。それはそうだろ。ララーの方がすぐれているんだから。私がおしえた以上にやってみせてくれ。自信を持つんだ。」
「うん。ララーがそう言うのならな。」


「止まるな。」


「ララー、奴との戯言はやめろ。」
「なに!アルテーシアか。ふーん。」




ア・バウア・クー

「新型のゲルググタイプはすべて出動しているようで、私が使えるのは残っていないでしょう。」
「ジオング。」
「はい。」
「はっ。(80%か)」


「足はついてない。使い方はさっきの説明でわかるが、サイコミュな、私に使えるか。」
「はっきり言う。気に入らんな。ありがとう。信じよう。」



「何か。行けます。はっ、Sフィールドに侵入する敵を撃滅します。」


「さて、問題はこの私に、ララーほどの素養があるかということだ。」
「沈め。」
「よーし、しかし、奴はどこにいるんだ。うん、モビルスーツ隊。」
「情けない。ガンダムを見失うとは。どこだ、奴は。」


「見えるぞ。私にも敵が見える。」


「ガンダム。何だ。シー。」
「ガンダムのパイロットはアムロと言ったな。どうする。あのニュータイプに打勝つ方法は。ララー、おしえてくれ。どうしたらいいんだ。」


「うっ。」
「うおっ。ガンダム。」



「そう思える力を与えてくれたのは、ララーかもしれんのだ。ありがたく思うのだな。」
「それが許せんというのなら、間違いだな。アムロ君。戦争がなければ、ララーのニュータイプへの覚醒もなかった。」
「しかし、正しいものの見方だ。」
「君は自分がいかに危険な人間かわかっていない。素直にニュータイプの有り様を示しすぎた。」
「人は流れに乗ればいい。だから、私は君を殺す。」



「貴様が最強の兵だからだ。」
「私にとっては違うな。わかるか、ここに誘い込んだわけを。」
「身体を使う技は、ニュータイプといえども訓練をしなければな。」
「やー。」

「今という時では、人はニュータイプを殺し合いの道具にしか使えん。ララーは死に行く運命だったのだ。」
「アルテーシア。」
「ララーを殺された。」
「ならば同士となれ。ならば、ララーも喜ぶ。貴様を野放しにはできんのだ。」
「ヘルメットがなければ即死だった。」


「安心しろ。貴様に代わって、キシリア殿は必ずお守りしてみせる。」
「ここもだいぶ空気が薄くなってきた。アルテーシアは脱出しろ。」
「チャンスは最大限生かす。それが私の主義だ。」
「おまえももう大人だろ。戦争も忘れろ。いい女になるのだな。アムロ君が待っている。」



「キシリア殿は。」
「ガルマ、私のたむけだ。姉上と仲良く暮らすがいい。」