行政書士
鴨志田 勉
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条例制定権の限界


原則

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□国全体の利益や他の地方公共団体の利益などを配慮して、国全体を通じて、画一的規制を行う必要のある事項(例.刑事犯の創設・価格統制など)
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□「地方自治の本旨」、条例制定権を認めている趣旨に反しない限り、法律は条例に優先すると解する。



問題の所在

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□法令と条例とが抵触した場合、どのような場合に条例と法令とが矛盾しているといえるか、その判断基準が問題。



判例

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□条例が国の法令に違反するかどうかは、両者の対象事項と規定文言を対比するのみでなく、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、両者の間に矛盾抵触があるかどうかによってこれを決すべきと解する。

<1>ある事項について、国の法令中にこれを規律する明文の規定がない場合
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□当該法令全体からみて、右規定の欠如が、特に当該事項についていかなる規制をも施すことなく放置すべきものとする趣旨であると解されるときは、これについて規律を設ける条例の規定は国の法令に違反するものと解する。

<2>)特定事項について、これを規律する国の法令と条例とが併存する場合
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□<1>後者が前者とは別の目的に基づく規律を意図するものであり、その適用によって前者の規定の意図する目的と効果を何ら阻害することがないときや、<2>両者が同一の目的に出たものであっても、国の法令が必ずしもその規定によって全国的に一律に同一内容の規制を施す趣旨ではなく、それぞれの普通地方公共団体において、その地方の実情に応じて、別段の規制を施すことを容認する趣旨であると解されるときは、国の法令と条例との間には何らの矛盾抵触はなく、条例が国の法令に違反する問題は生じないものと解する。



問題の所在

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□1960年代、公害問題が深刻化し、地方公共団体が国の規制よりも厳しい規制条例を制定するに至ったが、当該条例(いわゆる上乗せ条例・横出し条例)は法令に違反するか、「法律の範囲内」(94)の解釈が問題となる。



肯定説

<1>地方自治の本旨(92)を全うするためには、できる限り広く条例制定権を認めるべき。
<2>地域社会の特殊性に応じた具体的規制の必要性。
<3>法律は全国を通じて確保すべき最小限を定めているのであって、地方公共団体が必要に応じて条例で定めることを排除する趣旨ではない(許容性)。
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□従って、「法律の範囲内」とは、それぞれの趣旨、目的、内容及び効果を比較し、個別的に検討すべきと解する。
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□具体的には、住民の生命・健康を確保するために法律の規制が不十分で、条例でより厳しい規制を行うことが不可欠な場合(例.公害規制など)には、民主的基盤(93)をもつ条例の性質に鑑みて、法令に反しないものと解する。