行政書士
鴨志田 勉
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「裁判」(82)の法的性格


問題の所在

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□非訟手続による「審判」は「裁判」(32)かどうか、また「裁判」(32)は常に公開・対審の手続によらなければならないか、32条と82条の「裁判」の意義が同義なのかが問題。



公開非公開政策説

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□事件の性質に応じて決定さるべき立法政策上の問題と解すべき。
     ↓
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□従って、「裁判」(32)は訴訟事件に限らず非訟事件をも含み、「裁判」(82)とは同義ではないと解する。



訴訟事件公開説・判例・通説

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□「裁判」(32)は、当事者の意思如何にかかわらず終局的に事実を確定し、当事者の主張する権利義務の存否を確定することを目的とする「性質上純然たる訴訟事件」については必ず公開法廷における対審・判決によってなされなければならないと解すべき。
     ↓
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□従って、「裁判」(32)と「裁判」(82)とは同義であると考える。



折衷説・佐藤幸治説

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□この点、訴訟事件公開説(判例・通説)もある。
     ↓しかし
<1>「性質上純然たる訴訟事件」と「性質上非訟事件」との境界が明確を欠き、区別が難しい。
<2>「審判」で権利義務の具体的内容を定めながら、訴訟でその前提たる権利義務自体を争いうるというのであっては、家庭裁判所の存在意義が見失われることになり不都合(紛争の蒸返しの弊害)。
     ↓
<1>現代においては、社会経済生活の複雑化による私人の生活に対する国家の後見的機能が増大し、また具体的状況に応じて妥当な結論を導く必要性や権利救済の実効性・迅速性を図る必要性が生じてきた。
<2>公開・対審・判決の構造に従うことが、近代法がその基盤とする個人尊重の原理(13)や公正な裁判の遂行(32・82条の趣旨)をかえって妨げるような場合にまで貫徹されなければならないとするのは硬直的すぎる。
     ↓
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□思うに、32条は、公正確保の見地から、公開・対審・判決を原則としつつ、事件の性質・内容に応じて当該事件に最もふさわしい適正な手続の保障を伴った「裁判」を受ける権利を保障したものと解する。
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□そこで、その手続がふさわしくないという合理的理由があれば訴訟手続からの免脱が許容されないわけではないと考える。
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□従って、「裁判」(32)は性質上純然たる訴訟事件に限らず、「裁判」(82)とは同義でないと考える。