問題の所在
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□憲法は、下級裁判所裁判官の任命について、10年の任期付で行われるが、「再任されることができる」としている(80Ⅰ)。その解釈が問題。 |
自由裁量説
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□任命の日から10年を経過すれば当然退官し、再任は可能ではあっても、それは新任と全く同様であって、最高裁判所の自由裁量的判断によって決定されるものと解する。 |
再任原則説
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□この点、「再任」(80Ⅰ)は、裁判官の「身分継続の原則」を前提とするもので、憲法78条所定の例外事由に該当しないことの確認行為であるとする見解あり(身分継続説)。
↓しかし
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□憲法の文言および制定過程(司法府の地位を強化すると同時に、それが独善に陥ることを防止しようとする狙いがあることは明らか)に照らし、「身分継続の原則」を措定することは妥当ではない。
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<1>下級裁判所の裁判官の地位を図るべき理由は大きい。
<2>最高裁判所裁判官の国民審査制度(79Ⅱ)を解職の制度と解する私見から、それとの均衡を図るべき。
↓
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□従って、10年の経過で裁判官は退官し、法的には再任は新任と同様の性格のものではあるが、著しい成績不良など特段の事情がない限り、再任が原則であるべきと解する。 |
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