行政書士
鴨志田 勉
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国会の条約修正権


問題の所在

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□内閣が締結した条約は、事前又は事後に国会の承認を経なければならない(73B)。この点、内閣が締結した条約について国会に条約修正権があるのか、明文なく問題となる。



否定説・多数説

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□この点、1.国会の最高機関性(41)、2.国会法85条が条約の承認についても両院協議会を予定していることを根拠に、肯定説あり。
     ↓しかし
<1>修正を認めると、相手国の地位を不安定にする。
<2>憲法は、条約締結権を内閣に専属させており、国会に条約修正権を認めると、内閣の権限を侵す。
<3>憲法が内閣に条約締結権を与えたのは、内閣が複雑な国際関係の下で、相手国と交渉して条約の内容を決定するのに適するから。
     ↓
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□従って、国会は、厳密な意味では修正権を有せず、修正をしたとしても、それは条約を法的には否認しつつ内閣に再交渉を注文するという政治的意味合いをもつにとどまるものと解する。



問題の所在

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□承認に際し修正された場合、条約はいかなる効力を有するか。かかる承認が事前になされたものか否かに分けて検討する。



事前承認の場合

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□事前承認の手続で修正が行われた場合、内閣が相手国と交渉して国会の修正を実現するよう努力しても相手国がそれに応じなければ、結局、国会の承認が得られなかったことになるので、条約は不成立となる。



事後承認の場合(修正権否定説)

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□条約の効力に影響を及ぼさないことになる。

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□また、国会による修正は、相手国ではなく内閣に対するものであり、内閣は修正するよう相手国と交渉する義務を負うと一応考えられるが、それは政治的義務にすぎず、再交渉の余地なしと判断して交渉しないことも可能であると解する。

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□さらに、締結権を持つ内閣としては、そのような修正を施すならば条約を締結しない方がよいと判断した場合、修正が重要事項か広汎にわたるものである場合などには、不承認とみなすことができ、この場合の条約の効力は、事後承認を得られなかった場合と同様になるものと解する。