行政書士
鴨志田 勉
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立法の委任


定義

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□立法の委任とは、国会が自らの所管たる立法事項について、行政庁その他の機関による下位の法形式に委ねること

Contents

国会中心立法との関係
民主的コントロールとの関係
規則(人事院規則)への委任
規則(人事院規則)への罰則の委任
条例への罰則の委任



国会中心立法との関係

問題の所在

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□委任立法は、41条(唯一の立法機関)に反し許されないではないか、国会中心立法の原則との関連で問題となる。



肯定説

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□憲法は、国民の代表機関たる国会を「唯一の立法機関」(41)とすることで、国民の自律的意思による政治(民主的コントロール)を実現しようとしている。
     ↓しかし
<1>福祉主義の採用(25)により、立法の作成に高度な専門技術性を要請されるものが著しく増大した現状の下、国民に対しきめ細かに、かつ迅速に対応するため、立法府以外の行政庁等への立法の委任を行う必要性あり。
<2>憲法も、政令への委任(73E但)の可能性を予定している。
     ↓
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□従って、立法の委任も、民主的コントロールが及ぶ限り、41条に反するものではないと解する。



民主的コントロールとの関係

問題の所在

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□立法の委任の限界はどこか、民主的コントロールの必要性との関連で問題。



有力説

<1>福祉主義も、あくまで民主主義を前提とすべき。
<2>基準なき広範な委任は、1.公正な行政運営の困難さ、2.行政についての司法審査の困難さ、3.国民にとっての行為基準の不明確さを随伴する。
     ↓
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□そこで、まず、一般的・白紙的委任は許されないものと解する。
     ↓
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□思うに、授権法に委任の目的および受任者のよって立つ基準が明示された、個別具体的委任であってはじめて許されるべきと解する。
     ↓
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□その判断基準としては、1.委任された権限の大小、2.委任事項の内容、3.委任による実質的人権保障の担保の度合い、などを総合的に考慮すべきと解する。



規則(人事院規則)への委任

問題の所在

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□規則、例えば人事院規則への委任ができるか、政令への委任(73E但)のような明文規定がなく問題となる。



判例

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□公務員の政治活動の禁止につき、国家公務員法から人事院規則への委任の可否について、政治的行為の定めを人事院規則に委任する同法102Tは、「憲法の許容する委任の限度を超えることになるものではない」とした(猿払事件)。



有力説

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□確かに、人事院は、人事行政について専門技術性を有し、円滑に処理しうる独立行政委員会。
     ↓しかし
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□公務の中立性確保の必要性があっても、政治活動の自由は国民の自律的意思による政治を実現する手段として、21条で保障される重要な人権。
     ↓
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□従って、人事院規則への一般的包括的委任は、国民の予測可能性を奪い、政治活動への萎縮的効果をもたらすため、いわゆる白紙委任として許されなれないと解する。



規則(人事院規則)への罰則の委任

問題の所在

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□規則、例えば人事院規則への罰則の委任ができるか、政令への委任(73E但)のような明文規定がなく、31条との関係でも問題となる。



判例

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□国家公務員法で定める罰則は、不合理とはいえず、憲法31条に違反していないものと解する(猿払事件)。



有力説

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□そもそも31条の趣旨は、「法律」による罰則という民主主義的意義と、法律公布により法的予測可能性を担保するという自由主義的意義。
     ↓
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□従って、人事院規則への罰則の委任は、授権法たる国家公務員法自体に概括的構成要件および罰則の範囲の規定がなければ、いわゆる白紙委任として、31条に反し許されないものと解する。



条例への罰則の委任

問題の所在

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□条例への罰則の委任ができるか、政令への委任(73E但)のような明文規定がなく、31条との関係でも問題となる。



肯定説

<1>条例を制定する地方議会は、国会同様民選議員という民主的基盤あり。
<2>首長による公示で住民への法的予測可能性も担保しうる。
     ↓
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□従って、条例制定権(94)は、41条・31条の例外として、その実効性担保のため、条例への罰則の委任を許すべきと解する。