行政書士
鴨志田 勉
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国民投票の可否


問題の所在

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□このような明文にない国民投票制度を認めることができるかについては、1.国民主権(前文1段・1)、2.唯一の立法機関(41)、3.憲法改正の限界との関係で問題となる。



国民主権との関係(芦辺説)

<1>立憲民主主義(少数派の人権保障)の実現、実質的議論の確保、国民の判断能力などを考えると、直接民主制を原則とはできない。
<2>憲法上も国政の原則が間接民主制にある(前文1段)としている。
<3>他方で、補充的に、憲法上も直接民主制を採用(96・79V・95)。
     ↓
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□従って、原則として国民主権を、国家の権力行使を正当付ける究極的な権威は国民に存するという正当性の契機として捉えるべき。
     ↓もっとも
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□憲法自体が、直接民主的規定(96等)を置いていることから、権力的契機がまったく排斥されているわけではなく、両者は不可分の形で結合しているものと解する。
     ↓
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□このように国民主権の意味について、正当性の契機を原則として捉えると、明文なき国民投票は、否定されるようにもみえる。
     ↓しかし
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□権力的契機も加味されることから、直ちに否定的に解する必然性はなく、他の憲法条項との関係を考える必要がある。



唯一の立法機関性(41)との関係

チャート

「国の唯一の立法機関」性
     ↓
<1>国会中心立法の原則
<2>国会単独立法の原則

■国会中心立法の原則とは■
□国の行う立法は、常に国会を通してなされなければならないこと

■国会単独立法の原則とは■
□国会による立法は、国会以外の機関の関与がなくとも、国会の議決のみで成立すること



問題の所在

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□法律の成立手続きについて国民投票を採用することは、国会単独立法の原則に反しないかが問題となる。



肯定説

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□41条が国会を唯一の立法機関と定めた理由は、主権者たる国民に最も近い国民代表たる議会をもって立法権を独占させたものに他ならない。
     ↓
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□従って、主権者自身が判断を下し、立法を行うとしても何ら同条には反しないものと解する。


否定説

<1>我が憲法は、国政に関して実質的な討論を通じてこれを運営し、統一的国家意思形成させるため、国会を全国民の「代表」機関とした(代表民主制・前文・43)。
<2>代表民主制を前提とした自由委任(43・51)を規定。
<3>直接民主制を採用すると、多数決主義的民主主義に陥る危険があり、少数者の人権侵害の危険も増大。
     ↓
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□従って、法律の可否を国民投票で決することは、国会の立法権の本質的部分を侵害するものであり、憲法の定めた例外(95)以外は、認められない趣旨と解する。